学会で各国の医療現場を見てきた外科医の知人に、アジアの医療事情を聞くことがあります。分野にもよりますが、全体的に医療レベルが高いのは、日本、韓国、台湾だそうです。(やっぱりね、という感じもするけど)
特に興味深いのが、東南アジア。ベトナムは、これぞ社会主義と思わせるような医療業界。
例えば手術の時間。
外科医が言うには、「私なら数時間かける手術をベトナムではたったの40分で終わらす。神経とか、細かいところも気を配っておかないと、後遺症などのリスクもあるから、絶対40分では終わらない手術なんだけど。大丈夫か?と聞いてもI don’t careという感じだ。」
なるほど、どのみち何人を手術しようが、どんなに質のよい手術をしようが、結局入ってくる給料は同じ。早く終わらせて早く帰る。これぞ社会主義。手術でこれなら、一般診療もその質がなんとなく想像できます。
タイにいたっては、タイでは第2都市と呼ばれるチェンマイでも、病院ではベッドが足りず床に寝ている患者もいて驚いたというほど。
タイの文化的に、「病気になるのも自分の運命」的な悟りの境地なので、病院で病をどうにか治そうという考え方よりも、この人生をあるがままに受け入れる、的な考え方が大きいらしい。
とはいえ、技術的にはベトナムよりは高レベルのようです。
しかも、文化的に死体への執着?などはないので、病院に検体として渡すことにも抵抗はないといいます。手術の研修でも死体を使っての研修を行ったそうです。
シンガポールは、さすがに医療器具は最先端ではあるが、医師のレベルは日韓に比べると若干低いが、一般的な治療だとそれほど問題はなさそうです。ただ、手術になると、そもそも人口が少ないので、医師の経験値が低い。大きな手術なら日韓のほうがやはり安心。
近年まで医学部があったのがシンガポール大学だけなので(最近別の大学に医学部ができたとか)、研究面でも若干遅れている。さらに医療費がかなり高い。そもそも物価がそれなりに高いので仕方がないのですが。
これは、各国の学会や視察にいって感じた個人の医師から聞いた話なので、単なる個人の感想と思ってほしいです。